前回は360FSを解説しました。今回からは、いよいよインバートトリックと 人気の高い様々なスピントリックを交えながら解説していきます。 今回は、初めてインバートにトライする時に多いバックロールを説明しよう。 バックロールはそれ程難しくは、ありません。僕のスクールでも、基本から積み重ねている人は、2〜3回のトライで、とりあえず回りきってボードから降りている人も多いし女性の方もメイクする人はとても多い。しかし、我流と運動神経でやってきた人はちょっと苦労するかもしれない。何故なら、多くの人が勢いやスピードをつけて2ウェイキを飛ぶ癖がついてしまっているからだ。(そんな人は以前の峠塾を読み返してみよう。)インバート全般に大切な事はロープテンションとタイミング。スピードや勢いではない。僕はそれを証明する為によくスクールのデモでアプローチからランディングまで片手だけで回ったりウェイキから1m位のところから回ったり、また、ウェイキを使わずに回ったりと大切なのはスピードでなくロープワーク(ロープテンション)とタイミングであると教えている。スピードをつけるとボードがウェイキをリリースするタイミングがつかめずに踏み切りが早くなってしまう。さあ、これからインバートを始める人は次の事に注意してトライしよう。 ・トライする前にしっかりとイメージをつくろう。ビデオを見たり(僕のウェイクボード大辞典ヴィジュアルなんかGood)、本を見たり読んだり(こ の本で十分)して「出来そう、簡単そう」、そんなイメージも大切。イメージが出てきたらハンドルを持って陸上で再度イメトレ。 ・ラフな水面のコンディションではやらない ラフな水面は2ウェイキエアーでもやりにくいだろうし、そんな時は他の練習をしよう。無理して怪我 をしてもつまらないから。 ・ウェイキのサイズは大きくできるのであれば大きくした方が高さが出やすいので安全。 ・できるだけヘルメットの着用をおすすめする。失敗した時の衝撃をかなり守ってくれる。 ・ビデオカメラがあれば自分のライディングを撮ってコマ送りにしながらチェックしてみよう。 ・最後にライフジャケットは必ず着用しよう。以上のことを注意して怪我のないように頑張ってインバートに挑戦しよう。 HSバックロール HSバックロールは両手で回る人と片手の人がいるが、どちらにするかは特にこだわらなくていい。何度かトライしていくうちにやりやすい方で構わない。ここでは2つのシークエンスを見ながら説明しよう。 | ||||||
アウトからロープのテンションを感じながら(大切)ウェイキに向かう。ウェイキの手前で(上シークエンスの1人目)でグッと腰を落すようにしてエッジをかけパワーを溜める。ウェイキを上りながら体を起こし、腰を振り上げる。この時ボードを回すイメージではなく上方向(空)に向けて突き上げるようなつもりで(上6人目、下4人目)ボードを放り上げる。ハンドルはリリースの時から腰の位置でキープ(固定)しておくとボードは自然に回転していく。ハンドルをキープしておくというのはロープテンションを常に保っておくという事でロープテンションが緩むと回転が止まったりランディングが不安定になる。ここまでは両手も片手も同じ。片手の場合はエアーのピーク(下5人目)に達した時にバックハンドを離す。この時体が後ろに開きやすいので顎をしっかりと引きフロントハンドは脇を締めて手が上がらないよう腰の位置でしっかりとキープしておく。回転の後半はハンドルを引きつけて固定しておく事に集中する。ここまで出来ればボードは回転を終えランディングに入っていく。しっかりと目を開け着水点を見定めてランディングしよう。最初は何も見えないけれど必ず目は開けておこう。 | ||||||
スピントリックはバリエーションも多く人気のあるトリックだ。今回はブラインド方向に回転させるスピントリックを説明しよう。下の2つのシークエンスは同じHS360BSだがハンドパスをする場所で難易度やスタイルも変わってくる。膝の後ろでのハンドパスは難易度が高い。違いをよく見てトライしてみよう。 | ||||||
アウトから徐々にエッジを強めウェイキにアプローチ。ウェイキを上り始めた時にボードのエッジを切り替え瞬間にエッジを戻すような感じでウェイキを踏みこみウェイキをリリースする。ウェイキをリリースする時に後ろ足を強く突き放し後ろを振り返るようなつもりで真後ろに目を向ける。同時にフロントハンドは手首を返すようにしてハンドルを背中に持ってくる。この時ハンドルは後ろの腰にしっかりと引きつけ腰から離れないように気をつける。そしてバックハンドでハンドルを取りに行く。腰の真ん中でハンドルをパスするようにしハンドパスをしたらハンドルをしっかりと引き込むとボートに引っ張られて残りの回転が誘導される。同時に顔をボートの方へ向けハンドルを取りに行く動作で360の回転を完成させる。頭は常に回転方向を見て回転を誘導する。 | ||||||
今度はハンドパスをする場所を変えてみよう。ポイントはハンドパスの時に胸に膝がつくくらい曲げて前傾する事。まずは、アプローチとウェイキのリリースは360BSと基本的には同じだが、より強くウェイキを蹴ることを意識しよう。ウェイキをリリースしたらハンドルを低く押さえつけるようにして膝を曲げる。ハンドルは上体を前傾させてお尻の下に持ってくる。胸を膝につけるようにして体を2つに折りたたみ膝の後ろでハンドルをパスする。ハンドパスが終ったらすばやく上体を起こしながらボートの方へ体を向ける。ハンドルを取りに行く動作により回転を終了させランディングに入る。 | ||||||
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峠 範和 '96〜98 3年連続全日本チャンピオン。2000年クラス別世界チャンピオン。シーズクラブウェイクボードスクール校長。ウェイクボード界のカリスマ的存在であり数々の記録と伝説を残し続けている。スクールには年間5000人を越える生徒が訪れ、また芸能人も彼のスクールを訪れている。現在、自由なウェイクボードのスタイルを追及するため、コンペには一切出場せず新たなスタイルを築きながら進化し続けトッププロとして、またテレビ、雑誌、ビデオなどで活躍中。 スポンサー/ Liquid Force . Supra . DNA. Free Style J-F、 Hard Line R2 Nevin、 Pro Tec 他 | ||||||
今回の峠塾はいかがでしたか?今回使っている写真や解説は7月に発売された 「峠範和のウェイクボード完全マスター」(制作/DEP・発売/泉書房)から使っているんです。なんとオールカラー192Pでシークエンスを中心に詳しく1つ1つ詳しく解説しています。これから始める人からプロボーダーまでが学べるように構成しました。自信を持ってお薦めできる究極のHow To本です。全国の書店、ウェイクボードショップで販売中。 ●内容に関するお問い合わせは シーズクラブ 滋賀県滋賀郡志賀町荒川 TEL:077-592-2412/FAX:077-592-1595 http//www.seasclub.co.jp E-mail wake@seasclub.co.jp ●(有)ディーイーピー TEL:03-5358-8607 | ||||||
※本文タイトルHSはヒールサイド。TSはトゥサイドの略。※使用ボード、リキッドフォース・ヘリック134。※トーイングボート、スープラランチ1。 |