今回は前回に続き基本のインバートとスピントリックの応用を解説しよう。
スケアクロウというトリックは前に一回転しながらボードを横に180度回転させるトリックだ。難しそうに聞こえるが前に1回転だけするフロントロールより簡単でフロントロールより先にスケアクロウが出来てしまう人が非常に多い。スケアクロウは人によって様々な形がある。まずは片手か両手か、回転する方向が縦方向か横方向かなど、人によって違う。どちらがやり易いかというのはない。片手か両手か最初にビデオや本を見たりして自分のイメージのつきやすい方で構わないが多くの人は両手から始めるようだ。そんな中でどうしても横の回転が足らずに、ボードが180度回らない人は片手で練習してみよう。
慣れてくると片手の方がリカバリーやごまかしが、ききやすいかもしれない。アプローチは両手も片手も同じ。アウトからスラロームターンの要領でターンし、最初はゆっくり、そして徐々にエッジを強めていく。姿勢は背筋を伸ばし腰をしっかりとツイストさせて前足にもしっかりと加重する。アプローチの姿勢は大切なのでよく覚えておこう。腰をしっかり捻ってロープテンションを使わないと180度のローテーションが難しくなる。
アウトからボートと反対の方向へ倒れるようにして背筋を伸ばし両足均等にトゥサイドに加重しウェイキに向かう。ウェイキの手前で体を起こしハンドルを下に押し付けるようにしてウェイキに上る。前足がウェイキのトップにきたらウェイキを強くプッシュするような感じで前足で踏み切り腰を後方に放り投げるようにして回転を始める。この時ノーズにバックショルダーを向けるようにすると横の回転が与えやすい。
回転中は脇を締めハンドルをキープしてロープテンションを維持する。両手の場合は特にロープテンションを維持する事がポイントとなる。回転の後半にハンドルを反対側の腰にひきつけるようにする。回転が終わりランディングの体勢に入ったら体を起こしハンドルを脇腹の方に引き寄せるような感じでローテーションを安定させる。
片手でのスケアクロウもアプローチは両手と同じ。しっかりとロープテンションを維持しながら前足がウェイキをヒットしたら強くウェイキをプッシュして背中を後方へ放り投げるようにして回転を始める。回転が始まると同時にフロントハンドルを離し後方へ体を開く。
この時に離した手で前足の踵をグラブするくらいの気持ちでウェイキをリリースすると、より回転がし易くなる。回転中は片手なのでハンドルが持って行かれないように脇を締めてハンドルを引きつけておく。回転の後半はハンドルを体の側面に引きつけるようにしてランディングに入る。
ウェイキをリリースする瞬間ほとんどの人は体が寝てしまっている写真のように体が真っ直ぐになっているのが理想的。
ウェイキを上り始めたら体を起こしハンドルを下に押さえつけるようにしてエッジとロープテンションをキープ。

アプローチの時の姿勢はとても重要。背筋を真っ直ぐ伸ばし前足にしっかりと乗る事
通常の360と同じアプローチでウェイキに向かう。ウェイキをリリースする瞬間にエッジをオフにして、グラブをし易くする為に強くウェイキを踏み込む。ウェイキをリリースしたらフロントハンドを離し360を始める。その時にフロントハンドは円を描くようにして回しながらグラブをすると回転がスムーズになる。
バックハンドは手首を返すようにして背中に回し膝を曲げボードを引きつけてボードをグラブする。グラブをした手はグラブしたままボードと一緒に後ろへ回していくようにして回転を誘導。ボードが約90度回ったところでグラブをやめ背中に回しハンドルパスをする。ハンドルをキャッチしたら2つ目のウェイキの方へ顔を向け残りの回転を誘導しランディングに入る。


アドバイス
●ウェイキをリリースしたらグラブをし易くする為、膝を曲げボードをしっかりと引き寄せておく。自分からグラブをしようとすると回転軸が、ぶれてバランスを失ってしまう。●グラブをする時に半円を描くようにしてフロントハンドでボードをグラブしボードの回転を与えよう。
Other 1 point
皆さん、寒さに負けずに頑張っていますか?僕は毎日のように滑っていますよ。まだまだ、大丈夫。1月も2月も雪が降っても滑りますよ。皆さんも、寒さ対策をしっかりすれば結構いけるものですよ。そういう訳で今回は寒さ対策のグッズを紹介しましょう。
●セミドライスーツ
セミドライスーツも年々クオリティーがよくなって、とても暖かくなってきています。でも素材によってかなり違うのです。素材には大きく分けてゴムのようなスキンと生地のようなジャージがあります。暖かさからいくとスキンでしょう。ジャージだとボートの上で風にあたっていると冷えてくるのがスキンに比べて早いのです。スキンとジャージと両方使っているデザインのものもありますがジャージの部分から先に冷えてきます。もちろんジャージにもメリットはあります。耐久性、収縮性、豊富なカラーバリエーションなど、スキンを上回ります。雪が降っても滑る人はスキンを多く使用しているセミドライスーツがいいかも。ちなみに僕のセミドライスーツはオールスキンの真っ黒け。
●インナー&あったかグッズ
セミドライスーツを着ていても、やはり雪の時や1月2月は寒いもの。そんな時に威力を発揮するのがインナースーツやソックスやグローブ。インナースーツはセミドライスーツの下に着るもので、かなり保温性はアップ。フォールして水が入ってきても冷たさを半減してくれます。そして、手が、かじかむ人はグローブを。あまり部厚いものだと握力がなくなってくるので気をつけよう。また、ボートの上で重宝するのがソックス。ボートの上で最初に冷えてくるのが足。かなり役に立つぞ。
●ウェイクコート⇒
ボートの上に上がって寒さから体を守ってくれるのがこのコート。風を通さないので保温性はかなりいい。ロングコートだと膝の下まで暖かいぞ。おすすめ。


峠 範和
'96〜98 3年連続全日本チャンピオン。2000年クラス別世界チャンピオン。シーズクラブウェイクボードスクール校長。ウェイクボード界のカリスマ的存在であり数々の記録と伝説を残し続けている。スクールには年間5000人を越える生徒が訪れ、また芸能人も彼のスクールを訪れている。現在、自由なウェイクボードのスタイルを追及するため、コンペには一切出場せず新たなスタイルを築きながら進化し続けトッププロとして、またテレビ、雑誌、ビデオなどで活躍中。
スポンサー/ Liquid Force . Supra . DNA. Free Style J-F、 Hard Line R2 Nevin、 Pro Tec 他

今回の峠塾はいかがでしたか?今回使っている写真や解説は7月に発売された
「峠範和のウェイクボード完全マスター」(制作/DEP・発売/泉書房)から使っているんです。なんとオールカラー192Pでシークエンスを中心に詳しく1つ1つ詳しく解説しています。これから始める人からプロボーダーまでが学べるように構成しました。自信を持ってお薦めできる究極のHow To本です。全国の書店、ウェイクボードショップで販売中。
●内容に関するお問い合わせは
シーズクラブ  滋賀県滋賀郡志賀町荒川
TEL:077-592-2412/FAX:077-592-1595
http//www.seasclub.co.jp
E-mail wake@seasclub.co.jp
●(有)ディーイーピー
TEL:03-5358-8607
 
※本文タイトルHSはヒールサイド。TSはトゥサイドの略。※使用ボード、リキッドフォース・ヘリック134。※トーイングボート、スープラランチ1。